人材紹介業は、求職者を紹介し、入社が決定した際に手数料をもらうという成功報酬型のビジネスモデルのため、求職者・企業間の期待値相違や紹介会社のコミュニケーション不足によるトラブルが起こりがちです。 本記事は、その具体的な事例と対処法をご紹介します。
「求職者の入社決定後、紹介料を請求したところ、紹介先企業の想定していた金額と差異があった…」
求職者を紹介する前に、人材紹介会社と求人企業の間で紹介料に関する明確な取り決めを行う必要があります。 手数料を料率で設定している場合は、その算出基準の定義(求職者の想定年収であれば、残業代や賞与を含むのか)まで、細かくすり合わせておかないと、金額に差異が生じてしまいます。 求職者の入社が決定した後に紹介料についてのトラブルが発生すると、基本的には紹介会社側が求人企業の条件を受け入れる方法でしか状況を収束できません。 紹介料が支払えないから、求職者の採用を取りやめる、となってしまっては、何の非もない求職者に多大な迷惑がかかってしまうからです。 特に、「転職先が決まったから、現職企業を辞めた」という求職者に対しては、取返しのつかない状況になりかねません。 基本的には求職者の紹介前、遅くとも、求職者が面接に進むタイミングまでには、紹介料に関する契約書の取り交わしを終えておくと良いでしょう。
なお、紹介した求職者が入社後、短期間で辞職した場合、紹介先の企業から紹介料の返金や減額を求められることがあります。 返金や減額の条件が事前に明確になっていない場合もトラブルに発展しがちのため、 紹介料を取り決めると同時に擦り合わせておきましょう。
「人材紹介会社から聞いていた給与・待遇と、実際の雇用条件が異なっている…」
求職者が応募した求人票の内容と、実際に採用企業から説明される仕事内容や雇用条件が一致していないと、求職者の不満につながります。 なお、選考の中で気付ければまだよいものの、入社後に判明した場合は早期退職となる可能性が高いでしょう。 企業からの求人依頼は正確に把握し、求人情報の更新や修正が生じた際は、速やかに対応するようにしましょう。
「紹介会社から共有されていた情報と、実際の本人のスキルに差異がある…」 「求職者の入社後、うつ病が再発してすぐに離職されてしまった…」
求人企業の立場で、紹介会社経由で入社した人材のスキルや経験が期待に合わない場合、求人企業が不満を持ち、紹介会社との関係が悪化することがあります。 特に、下記2点についてはトラブルが起きがちな内容のため、求職者に対して少しでも違和感があった場合は、紹介先企業に補足をしておいた方が無難です。
■求職者の経歴詐称
求職者が自身について虚偽の情報を提出する場合があります。 紹介会社の立場では、求職者との面談の中で、経歴・経験の確認を行うことが重要です。 職務経歴書の内容についてヒアリングをした際に、しっかりと回答することができなかったり、職歴書上の時間軸と求職者が述べている経験の順番が一致しない場合は、要注意です。
とはいえ、紹介会社は経歴の調査機関ではないため、全ての求職者の情報を正確に把握することは難しいでしょう。
・経歴詐称は、場合によって罪に問われることもあるということをしっかり求職者に伝えた上で、履歴書・職務経歴書を提出してもらう。 ・経歴詐称があった場合の対応について、紹介先の企業と事前にすり合わせておく
といった対策が必要です。
なお、単純に求職者の勘違いで、履歴書や職務経歴書の情報が間違っている場合も多々あります。 特に学校の入学・卒業年月や、在籍期間などの部分については、西暦・年号の記載ミスが起こりがちです。 企業に紹介した後に、そういった誤記載が発覚すると、求職者・紹介会社の両方に対しての心象を損ねるため、求職者から提出書類を受け取った際に、しっかりと確認をしておくと良いでしょう。
■要配慮個人情報について
人材紹介会社が、求職者の求職者の病歴・持病や犯罪歴など、企業に不利な情報を隠したり、十分に伝えなかった場合、後で問題が発覚してトラブルになることがあります。
しかし、求職者の病歴や犯罪歴などは「要配慮個人情報」と呼ばれ、個人情報の中でも特に扱いに注意が必要とされているため、この情報を求人企業に伝えるためには、求職者から事前に同意を取っておく必要があります。
トラブルになりやすい情報については
・事前にチェックリストを作成し、求職者自身に記入してもらう ・その情報の提供可否について、求職者に同意を得る ・要配慮個人情報の扱いについて、事前に求人企業とすり合わせを行っておく
などの対策が必要です。
人材紹介事業向け管理システム『LaS』では、 企業の求人情報・求職者の個人情報の管理はもちろん、それぞれに対しての対応履歴も一元管理が可能となってるため、 万一トラブルが発生した際に「誰が・いつ・どんな対応をしているのか」を確認し、迅速に状況把握・対応をすることが可能です。
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