
職業紹介事業を運営するうえで、毎年必要となる「職業紹介事業報告書」。
「何を記載すればよいのか分からない」「求人・求職者のデータ集計に時間がかかる」「提出直前になって数字が合わない」といった悩みを抱える人材紹介会社も少なくないのではないでしょうか。
職業紹介事業報告書は、職業紹介事業者が事業実績や運営状況を報告するための重要な書類です。紹介実績がない場合でも、原則として毎年提出する必要があります。
本記事では、2026年時点の制度に基づき、事業報告書の記載項目や提出期限、作成時の注意点を解説します。さらに、日々の業務データを活用して報告書作成を効率化する方法もご紹介します。
1. 職業紹介事業報告書とは?
職業紹介事業報告書とは、職業安定法に基づき、職業紹介事業者が厚生労働大臣に提出する報告書です。
有料職業紹介事業者や無料職業紹介事業者などが対象となり、事業所ごとに求人・求職・就職実績などを集計して報告します。
この報告は、職業紹介事業の実態把握と適正な運営のために行われるものです。
提出対象となる事業者
有料職業紹介事業者(人材紹介会社など)
無料職業紹介事業者
その他、法令に基づき事業報告が必要な職業紹介事業者
事業者の区分によって使用する様式が異なる場合があります。
また、紹介実績が0件であっても、提出義務がなくなるわけではありません。 事業開始直後の企業や、対象年度に成約がなかった企業も注意が必要です。
2. 職業紹介事業報告書の提出期限と対象期間
職業紹介事業報告書の提出期限は、原則として毎年4月30日です。
項目
内容
報告対象期間
前年4月1日〜当年3月31日
提出期間
原則4月1日〜4月30日
提出先
管轄の都道府県労働局
主な様式
職業紹介事業報告書(様式第8号)
提出方法
電子申請・郵送など、管轄労働局の案内に従う
例えば、2026年4月提出分は、2025年4月1日から2026年3月31日までの実績が対象となります。
期限直前に集計を始めると、求人・求職情報の確認や数値の照合に時間がかかることがあります。
日頃から必要なデータを整理しておくことが、円滑な報告書作成につながります。
3. 職業紹介事業報告書の主な記載項目
事業報告書では、主に以下の情報を記載します。
① 事業所に関する情報
許可番号、事業所の名称・所在地など、事業者を特定するための情報を記載します。
複数の事業所を運営している場合は、事業所ごとに必要な情報を整理します。
② 求人に関する実績
対象期間における求人の状況を記載します。
有効求人数や雇用形態等の区分に応じた数値など、様式で指定された項目を集計します。
③ 求職者に関する実績
有効求職者数、新規求職申込件数などを記載します。
ここで注意したいのが、求職者の人数と申込件数の違いです。
単純な登録者数をそのまま転記するのではなく、各項目の定義に従って集計する必要があります。
④ 就職に関する実績
紹介によって成立した就職の件数などを、所定の区分に従って記載します。
社内で管理している「内定件数」「承諾件数」「入社件数」が、そのまま報告書の就職件数と一致するとは限りません。
報告上の定義を確認したうえで集計することが重要です。
⑤ 手数料等に関する情報
有料職業紹介事業者は、所定の手数料に関する情報なども報告対象となります。
売上管理上の数字と報告書で求められる数値の集計範囲を確認し、誤りがないようにしましょう。
なお、実際の様式にはこのほかの報告項目もあります。提出時は必ず最新の様式と記載要領を確認してください。
4. 事業報告書の書き方と記入例
事業報告書を正確に作成するためには、まず対象年度の実績データを整理することが重要です。
例えば、社内で次のような実績を管理しているとします。
管理項目
集計例
新規求職申込件数
150件
常用就職件数
25件
求人に関する実績
管理データから集計
手数料に関する実績
対象取引を確認して集計
※上記は社内集計のイメージです。実際の報告数値は、様式の定義・区分・記載要領に従って算出する必要があります。
作成の基本的な流れ
最新の事業報告書様式を取得する
対象年度の求人・求職・就職実績を抽出する
職種や雇用区分などに応じて数値を集計する
管理簿や社内記録と照合する
記載漏れ・集計誤りを確認して提出する
特に、複数の担当者がExcelなどで個別に情報を管理している場合、重複や入力漏れが発生しやすくなります。
5. 事業報告書作成でよくある間違いと注意点
求人数・求職者数・件数を混同する
管理しているデータの単位と、報告書で求められる単位が異なる場合があります。
各項目の定義を確認せずに集計すると、実際の事業実績と異なる数値になる可能性があります。
内定件数をそのまま就職件数にする
人材紹介会社では、推薦・面接・内定・承諾・入社など、複数の選考ステータスを管理します。
どの段階を就職実績として報告するかは、報告書の記載要領に従って判断する必要があります。
担当者ごとに管理方法が異なる
同じ求人企業や候補者について、担当者ごとに異なる情報を管理していると、年度末の集計や確認作業が複雑になります。
最新の様式を確認していない
報告様式や記載要領は変更される場合があります。
過去に作成したファイルをそのまま使用するのではなく、提出年度に対応した様式を確認しましょう。
6. 職業紹介事業報告書と各種管理簿の違い
職業紹介事業者が取り扱う書類には、事業報告書のほかに、求人管理簿・求職管理簿・手数料管理簿などがあります。
書類
主な目的
職業紹介事業報告書
年度ごとの事業実績を行政へ報告する
求人管理簿
求人の受理や紹介等に関する情報を記録する
求職管理簿
求職者の申込みや紹介等に関する情報を記録する
手数料管理簿
徴収した紹介手数料等を記録する
事業報告書と各種管理簿は目的が異なりますが、日常的に管理する求人・求職・就職実績などの情報には関連があります。
そのため、日々の記録を適切に管理しておくことが、年度末の報告書作成にも役立ちます。
7. 事業報告書の作成を効率化するには?
事業報告書の作成に時間がかかる原因の一つが、日常業務で使用するデータと報告書作成に必要なデータが分散していることです。
例えば、次のような運用では集計負担が大きくなりがちです。
求人情報はExcelで管理
候補者情報は担当者ごとに管理
選考進捗は別のファイルに記録
就職実績や売上は年度末にまとめて集計
こうした運用を改善するには、求人・求職者・選考進捗などの情報を日常業務の中で一元管理することが効果的です。
データを一元化することで、担当者間の情報共有や集計作業を効率化し、報告書作成時の確認負担を軽減できます。
8. LaSなら事業報告書をワンクリックで出力
人材紹介特化型CRM「LaS(ラス)」には、事業報告書の出力機能が搭載されています。
LaS上で管理している情報をもとに、事業報告書を所定のフォーマットで出力できるため、年度末に一からデータを集計・転記する負担を軽減できます。
LaSを活用するメリット
① 求人・求職者・選考進捗を一元管理
日々の人材紹介業務で発生する情報をまとめて管理でき、担当者ごとにデータが分散する状況を改善できます。
② 事業報告書の出力作業を効率化
LaSで管理している情報をもとに報告書を出力できるため、手作業での集計や転記にかかる工数を削減できます。
③ 毎年の報告業務を標準化
日常的に情報を蓄積することで、担当者が変更になった場合でも、過去のデータを確認しながら報告業務を進めやすくなります。
ただし、出力された報告書については、必要な情報が正しく登録されているか、最新の提出要件に適合しているかなど、提出前の確認が必要です。
9. まとめ|日々の情報管理が事業報告書作成の効率化につながる
職業紹介事業報告書は、人材紹介会社にとって毎年必要となる重要な報告書です。
正確に作成するためには、提出直前の確認だけでなく、日頃から求人・求職者・就職実績などの情報を適切に管理することが欠かせません。
特に、複数の担当者が関わる人材紹介事業では、情報の一元化が業務効率化の鍵となります。
LaSでは、人材紹介業務の管理に加えて、事業報告書の出力機能もご利用いただけます。
「毎年の報告書作成に時間がかかっている」「Excel管理からの移行を検討している」という企業様は、ぜひ一度LaSをご確認ください。
人材紹介システム「LaS」の事業報告書出力機能を試してみませんか?
実際の操作画面をご確認いただきながら、自社の運用に合った活用方法をご検討いただけます。
参考資料
厚生労働省|職業紹介事業の業務運営要領・各種様式
東京労働局|有料・無料職業紹介関係
e-Gov電子申請